
【イントロダクション】
“感情を切り捨ててでも正しい判断をする”――そんな主人公に惹かれて読み始めた『Thisコミュニケーション』。
数話読んだだけで、その異様な空気感と圧倒的な“合理性の狂気”に引き込まれてしまった。
【見所①:主人公・デルウハの徹底した合理主義】
「化物殺す仕事に就かされようと構わない」――このセリフだけで、彼がどういう人間かが伝わってくる。
感情や倫理よりも“最適な判断”を優先するその姿勢は、冷酷さすら感じるけれど、戦場という極限の中ではむしろ理想的とも言える。
ただ非情なわけじゃなく、徹底して“効率”を求めるあまりに常人には理解できない判断を下す。その合理性に、逆に人間らしさの欠落が滲んでいて怖いくらいだった。
【見所②:戦闘の凄み】
戦闘を行うのは基本的にハントレスであるが、デルウハが“大砲で化物と朝まで戦う”――そんな闘いもある。
身体能力的にはただの一般人が、巨大な敵を相手にただひたすら砲撃を続けハントレスが復活するまでの時間を稼ぎ続ける、この戦闘にこそデルウハの個人としての強さが滲み出ている話だと感じた。
また、不死性を持つヒロインたちと、ただの人間であるデルウハとの対比も絶妙。圧倒的な合理性による度重なる仲間割れとも言い難いヒロインたちとの殺し合い。理性と身体の限界、その両方でギリギリを攻めてくるのが心地いい。
【気になった点】
説明が少なく、会話も断片的なので、慣れていないと「ついていけない」と感じる人もいるかもしれない。
ただ、それもこの作品の魅力のひとつで、“理解できないけど惹かれる”感覚にハマれるかどうかが分かれ目。
【総評・まとめ】
一言で言えば、「冷徹な思考が世界をねじ伏せる狂気SF」。
感情ではなく、合理性で物語が進んでいくのに、逆に感情がかき乱されるような不思議な読後感がある。
王道からは外れた作品だけど、ハマる人には深く刺さるタイプ。
合理主義キャラが好きな人、戦場の静けさに美しさを感じる人には間違いなくおすすめ。
【ひと言メモ】
・「化物殺す仕事に就かされようと構わない」←初手でこれ、強すぎる。
・読後に改めてタイトルを考えてみた後、もう一度最初から読んでみたくなる。
・『チェンソーマン』のマキマの合理性が好きな人には特に刺さるかも?